強圧(強揉み)は悪いの?
強い刺激ほど、感覚を麻痺させる
【「強圧」 いたしません!】
なぜ、私が「強圧はしない」と公言しているのか?
それには、これから述べさせていただく理由があるからです。
【感覚】
私達の体には、感覚閾値というものがあります。
感覚変化の割合が一定という、
ウェーバー・フェヒナーの法則(感覚閾値の法則)についてお話させていただきます。
例えば、
100gのおもりを手にのせます。
そこに、少しずつおもりを増やしていくと、
110gくらいのところで、
「重くなったなぁ…」と気づくとします。
10gで気づいたことになります。
ところが、
1000gのおもりを手にのせて、
同じようにおもりを増やしていっても、
1010gでは重くなったと感じません。
重さを感じたのが1100gと、
一定の割合(10%)でしか変化を感じないというものです。
おもさの変化を感じるポイントは、一番最初に持ったおもりの重さによってかわるというものです。
最初に持ったおもりが重ければ重いほど感覚が鈍くなるというものです。
この最初に持つ重さを、「刺激の強さ」に置き換えて考えてみてください。
【強圧によって感覚が鈍感に…】
最初の刺激が強ければ強いほど、受け手の感覚が鈍くなるということになります。
強揉みを好む方は、負のスパイラルに陥ってしまっているということになります。
「強揉みではないと満足できない!」というのも、
お客様の好みですからそれはそれでよいとは思いますが…。
でも、それが結果的に体の感覚を鈍らせてしまっていることを知ってほしいのです。
【感覚が鈍ると痛みにも鈍感に…】
感覚を感じなくなるという事は、それだけ痛みに対して鈍感になるということです。
身体は外からの刺激から体を守ろうとするので、体は緊張状態になります。
緊張状態になれば、さらに体に硬さがでてきてしまうのです。
感覚が鈍感になっている分、骨や筋肉が大きなダメージをうけていることになります。
この負のスパイラルをどこかでリセットしなければ、
体が張った状態や痛みがやわらぐことはないと思います。
【すっきりしたわけではない!】
強揉みですっきりする感覚があるのは、
「広汎用性侵害抑制調節」というものが身体で働くからといわれています。
これは、新しい刺激で元の痛みを打ち消すというもので、
もともと違和感を持っていた部位へより強い刺激をかけると、
体の中が一旦リセットされた感覚になります。
あとからきた刺激や痛みを受け止めるようになるため、
もとからあった痛みや不快感というのが一時的に感じなくなるのです。
すっきりしたと感じるのはこういうことです。
そうなんです!
一時的なもので、何の解決にもなっていないのがお分かりになるかと思います。
【味覚だって!聴覚だって!】
体が受ける感覚だけではありません。
聴覚や味覚なども一緒です。
大きな音ばかりを聴いていると、小さな音がひろえなくなります。
濃い味ばかりを食べていると、薄い味だと味を感じなくなります。
病的なものではない限り、聴覚や味覚も同様、感覚の再教育ができるのです。
【説明をきちんとしてくれる施術者をみつけてください】
全部が全部、強い圧が悪いとは言いません。
また、お客様の体の状態で強く感じたりすることもあります。
是非、圧す(揉む)強さではなく、どうしてその場所が不調なのか、解剖学的・生理学的といった体のしくみの説明を受けた上で、施術を受けてください。
体のしくみがわかっている国家資格者でも強揉みがよいと思っている方もいます。その場合は、強揉みがよい理由を聞いてみてください。
【許せない!】
私の先輩のSNSでも語られていましたが、
お店によっては、強揉みは依存性が高いため、
売り上げを伸ばす為に意図的にやっているところもあるようです。
私達は改善へのお手伝いをすることはできます。
でも、ご自身のお体はご自身で守っていただくしかないのです。
【未病を防ごう!】
もう今年も残すところ2か月を切りました。
今年の疲れは今年のうちに…
是非とっていきましょう。
この記事を書いた人
野上 有子(のがみ ゆうこ)
昭和47年生まれ
宇都宮市立豊郷中央小学校・宇都宮市立豊郷中学校を経て、実家の八百屋を継ごうと宇都宮短期大学附属高等学校(情報商業科)へ入学。しかし、在学中に八百屋を閉めることとなり、医療・福祉系へ進路を変更。
卒業後は、栃木県医師会へ入社。26年間勤めた後、日本指圧専門学校へ進み、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得後、2020年6月に「指圧家のがちゃん」を開業。
現在に至る。
〇公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会員
〇一般社団法人 栃木県鍼灸マッサージ師会員
〇日本指圧専門学校同窓会員
※あん摩マッサージ指圧師免許